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【今回のワイナリーは…】
ハツィダキス / Hatzidakis
【生産者は、こちらの方…】
ハリディモス ハツィダキス / Haridimos Hatzidakis
ギリシャ語のカリステ、「最も美しいもの」と呼ばれるエーゲ海に浮かぶ島…そう、サントリーニ。
絵本に出てくるような白い街並みと吸い込まれそうなほどの紺碧の海、まばゆい太陽と青い空、そしてアトランティス伝説の残る島…
それは、きらきらと輝く地上の楽園。
この風景を求めてたくさんの観光客が訪れる。けれど、私がこの島に来た目的はほかにあった。
いにしえの時代から独特の手法でブドウを育て、脈々とワインを造っている。
ギリシャ、いや世界のなかでも恵まれたワイン産地の一つがこの島だ。
有機栽培のワインを造ることで知られる、ドメーヌ ハツィダキスを訪ねる。
観光客がほぼ足を運ばない、小さな村ピルゴスを目指した。小高い丘の村を囲むように広がるブドウ畑。
ブドウ畑に立つと、たちまち乾燥した台風並みの風にさらされる。肌に刺さる風塵に、美しいだけではない島の厳しさを感じた。
乾いた大地に這うように点在しているバスケット状の塊、これがブドウの樹だ。
初めて見るブドウの異様な形に驚きながらも、この島の造り手たちが風と格闘しながら生きているのがうかがえた。
島固有の伝統的なクルーラーという仕立ては、人の背丈ほどの高さになるブドウの枝を限りなく地面に近く低く、カゴを編むように新梢を巻いていく。
「バスケット型に仕立てるといっても、人はほんの少し手を貸す程度さ。この伝統的な仕立ては、ブドウを強烈な直射日光や強風のストレスから守り、育てるんだ」
そう教えてくれたのは、造り手のハリディモスだった。