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【今回のワイナリーは…】
アンドレ ボーフォール / Andre Beaufort
【生産者は、こちらの方…】
ジャック ボーフォール / Jacques Beaufort
有機栽培で唯一使用してもよいとされる、硫黄や硫酸銅すら一切まいていないというボーフォールの畑は、春の息吹にあふれ色とりどりの草花にびっしりと覆われ、多くの虫たちが共生している。
ふっかふかな土からは、ふわっと生命の活きている香りがする。隣の畑と明らかに違い、小さな独自の生態系をもった小宇宙を思わせる。
「1969年に、アレルギーを誘発して、深刻な健康被害にあいましてね。翌年から自然農法を開始。さらに、その翌年には畑での化学薬品の使用をやめたんですよ」と、ジャックが自然農法に取り組むきっかけを話し始めた。
60年代は、フランスでも農業の効率化のために、化学肥料や農薬の使用が積極的に押し勧められた時代だ。
ジャックの農夫そのものの暖かい人柄は、優雅で高級感の漂うシャンパーニュのイメージをいい意味で覆してくれる。
彼は、すでに現役を引退して、息子たちに当主の座を譲ったと聞いた。
けれど、私たちと話しをしながらも、ブドウの世話をしたくて、ソワソワしているのが伝わってくる。彼にとって、ブドウは可愛い子どもたちなのだ。
「私には体調の優れないときがあって、ブドウの栽培に使う薬品との関係を疑っていたんです。あるとき、化学薬品に頼ったリンゴを食べて、アレルギーを再発…これを機に化学薬品を使わないことを決めました」
けれど、化学薬品を使わずに、元気なブドウが育つ保証はまったくない。しかも、ここはブドウの生育条件が厳しいシャンパーニュ地方。