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【今回のワイナリーは…】
ラ セネシャリエール / Domaine de la Sénéchalière
【生産者は、こちらの方…】
マルク ペノ / Marc Pesnot
気温が上がってくると、空気にもいろんな香りが混じり始める。
小川を流れる澄んだ水の甘さ。今まさに土を押し上げようとする草の青さ。
何もかもがいっせいに動き始めて、新しい季節を迎えようとしていることを知らせてくる。
気持ちのよい空気が春を運ぶ3月は、ワインの造り手たちも動く月で、冬の間は眠っているような静かなブドウ畑の仕事…ブドウ剪定やリアージュ(誘引)を終えて、ふたたび樹液が動き出して目覚めるまでの間に、日本にプロモーションへとやってくる。
そんな来日の便りに、私が偏愛する造り手の名前を見つけ、心までうらうらとする。
フランスの西部のナント地区でミュスカデ造りに情熱をかける男マルク ペノ。
彼は、日に焼けた肌にきらきらと少年のような澄んだ瞳が印象的な人だ。挨拶を交わしただけでも、ワインの味わいと同じで、気分を和らげ、豊かで自然な弾力がある魅力を持った人なのが伝わってきた。
ミュスカデのワインといえば、透明で軽くて酸味のある味わいというのが一般的。
けれど、彼のワインは違う。やや白濁していて、まろやかで旨味の奥行きがあって、ミュスカデにありがちな舌を刺すような刺激もなければ、ネクターのような凝縮感があって味わい深い。
一口飲んで、鳥肌が立つのを感じた。